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子ども未来学科

2022.06.27

第70回日本医療ソーシャルワーカー協会全国大会にて、長谷川洋昭准教授が基調講演とシンポジウム座長を務めました。


令和4年6月25日(土)及び26日(日)、和歌山市の「和歌山城ホール」大ホールにて開催されました。

【長谷川洋昭先生講演抄録】
コロナ禍となり、社会の様々な「体力」が減退していると言われます。ステイホームが唱えられ、街を出歩くことさえ感じる後ろめたさを、私たちはマスクで覆い隠してきました。
そんな時代の日々でも、私たちは次のような方々は目にしてきたはずです。「車いすの人」「白杖を持つ人」「高齢者」「ホームレス」「子ども」「妊婦さん」「外国人」。そして例えば、車いすの人が進むその先に段差があることに気付いた場合は、私たちはその困難と必要な支援も理解できるはずです。しかしどうでしょう。「犯罪者」や「非行少年」と言われる人を、街を歩いていて私たちは気づくことは出来るでしょうか?またその人たちが再犯を繰り返さずに生きていくために必要な支援や、それが得られないために生じている困難は果たして多くの人に「視覚化」出来るでしょうか?
刑法犯により検挙された人のうち、再犯者の人員の比率(再犯者率)は平成9(1997)年以降上昇し続け、令和元年にわずかに低下したものの令和2(2020)年は49.1%でした。罪を繰り返してしまった彼らは「反省していなかったのだ」とみる人も多いですが、では人が「更生する」とは何を指すのでしょう。私の関わった事件も引きながら皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

【シンポジウム企画趣旨】(日本医療ソーシャルワーカー協会)
我々が支援する方の中には、日々生活のしづらさを抱え社会生活を送られている方がいる。日々業務に携わる中で、経済的に困窮されている方や、高齢者、障がいを抱える方には焦点が合いやすい。しかし、我々が業務の中では気づきにくく、アウトリーチをしても届かない領域はあるのではないかと言う推論に辿り着く。
 普段関わりの少ない領域として、司法領域という分野がある。恐らく司法領域でも我々を必要とする方々は必ずいる。しかし、その方々にとってその人らしい生活、自己実現した生活を送ってもらうために、我々のノウハウを生かし、その方にあった適切な医療及び福祉の提供、というのが出来ているのか、甚だ疑問である。
 そこで、ひとつの分野になるが更生保護の分野に目を向けたい。対象となる方の中には、矯正施設から出所の際の処方が決まった日数しか処方されず、生活保護の保護決定までの間受診が困難な場合もある、また入院医療を受けることになっても保証人が居ないことを理由に受け入れてもらえないなど、更生保護側にとって医療との連携の取りにくさが浮き彫りになってきた。
 そこで医療ソーシャルワーカーが司法分野や更生保護を知ることで,司法分野の関係機関と連携し,生活を見据えた医療・福祉の橋渡し役となり,更生保護,すなわち司法分野での支援をとおして改善更生・再犯防止に寄与できるのではと考えた。
 我々の活動分野は,医療のみならずその方の生活を守るセーフティーネットを意味する。今シンポジウムでは更生保護からみた医療に求める展望について、現場で働く実践家を交え、生の意見を参考に更生保護についての理解を深めたい。


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